治療と症例

NK細胞療法

生まれながらに持つ殺傷能力
がん細胞攻撃に適した免疫細胞

NK(ナチュラルキラー)細胞は、白血球のなかにある免疫細胞で、非自己(異物)を攻撃します。名前からもわかるとおり、生まれながらにして殺傷能力を持っている免疫細胞です。

NK細胞は抗原特異性といって、ある抗原を特異的に攻撃するというのではなく、抗原がなくても自由に体内を巡回して攻撃できるという特徴を持っています。また、同じ攻撃型の免疫細胞として知られるT細胞と比べて柔軟性があり、命令が下されなくても自ら動いてスピーディーにがんを攻撃するという特性を持っているのです。

NK細胞は、自己であるという標識を確認できない細胞を攻撃します。したがって、その原理を応用して、非自己である特徴は隠しているものの自己である特徴を出さない、という特性を持っているがん細胞を攻撃対象とするのに適しているのです。

ただし、血液中のT細胞とNK細胞の割合は10対1で、NK細胞は多くありません。さらに、がん細胞の目印となる抗原を提示するMHCクラス1という分子たんぱく質が発現(印を出している)している細胞にはNK細胞は働きません。

ウイルスに感染した細胞やがん細胞に対し、NK細胞:悪い細胞だ!やっつけるぞ!

体外で培養しパワーアップした
NK細胞を体内へ戻す

NK細胞療法はどのようにおこなわれるのか、その流れをご説明します。

まず、患者さん自身の血液を採取します。

採血した血液のなかからNK前駆細胞を採取して、IL-2(インターロイキン2)というサイトカインを用いて培養し、活性化させます。

無菌状態で約2週間培養し、数億から数10億個のNK細胞に増殖させます。(施設、培養期間、患者さんの状態によって異なる)。

そして、増殖させたNK細胞を点滴で体内に戻します。すると、活性化したNK細胞が体内でがんに攻撃を仕掛けます。

患者さんの症状によって異なりますが、治療は通常3カ月間に6回の投与を1クールとして行います。

NK細胞療法は自然免疫細胞であるため、培養によってがん細胞の攻撃率が増加することや、自己免疫のために拒絶反応がなくアレルギー反応の心配もないことが長所です。

一方、副作用として頻度は少ないですが微熱が出る場合があることや、MHCクラス1というたんぱく質が発現しているがん細胞を自己と見なして攻撃せずに効果が出ないことがあるところが短所といえるでしょう。

  • 1
    NK細胞を採取
    NK細胞を体内から採取

    正常細胞以外を攻撃する性質を持つNK細胞を体内から採取します。

  • 2
    増殖させる
    NK細胞が増えるイラスト

    採取したNK細胞を、体外で増殖させます。

  • 3
    体内へ戻す
    増殖させたNK細胞を体内へ戻すイラスト

    増殖させたNK細胞を体内へ戻します。

  • 4
    正常細胞以外を攻撃
    NK細胞は正常細胞は攻撃しない。がん細胞に対して攻撃する。

    正常細胞以外の細胞(がん細胞を含む)を総攻撃します。

詳細な情報を入手して
納得の上で治療を受けたい

NK細胞の治療効果が認められている一方でまだまだ進化している治療法でもあります。樹状細胞治療と同様にその効果が認められております。ただ保険治療が適応となっていないので自費治療であり、高額になることもあり、多くの人が受けることが出来ないために治療効果を統計学的に証明するに至っておりません。(個々の患者さんではその効果が現れています。)治療の担当医から十分な説明を聞いて治療を開始することが重要です。

第4のリンパ球、NKT細胞に期待!

そのような状況にあって、期待され始めたのがNKT細胞療法です。

NKT細胞は肝臓や骨髄にあるT細胞の約50%を占める、NK細胞、T細胞、B細胞に次ぐ、第4のリンパ球といわれる免疫細胞です。

現在、この先進的な治療は、頭頸部扁平上皮がんのIV期の初回治療後の症例に対して、千葉大学病院などで治験が行われています。標準治療後の患者さんを対象に、NKT細胞を活性化するαGalCerパルス樹状細胞を採血して採取し、培養して鼻の粘膜に投与する治療で、標準治療後の再発・転移をめざしたものです。

非小細胞肺がんのIIA期、IIB期、IIIA期の手術後の症例に対して、全国15カ所の国立病院機構病院でも先進医療を実施しています。手術後の補助化学療法によって再発を防いでいた従来の治療法では必ずしも充分とはいえないため、この先進医療への期待は大きいといえるでしょう。治療では、患者さんの血液を採取し白血球成分を分離・培養した中に、NKT細胞の活性化に役立つαガラクトシルセラミドという糖脂質を混ぜて、患者さんの体内へ戻します。

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